第270章

電話口の島宮健太は、やけに歯切れが悪い。――その反応だけで、島宮奈々未の嫌な予感は確信に変わった。

「このバカ! 今すぐ戻って来い! 藤原邦達について行くつもりなら、一生あたしを姉さんなんて呼ばないで!」

怒りと焦りで胸が詰まる。せっかく警察から引っ張り出したばかりなのに、目を離した瞬間に自分から首を差し出すなんて。腹が立たないわけがない。

「姉さん、ごめん。でも……あの人は、やっぱり僕の父さんだ。僕を害するはずない」

そう言い切って、健太は電話を切った。

掛け直したときには、すでに電源が落ちている。

「……ほんっと、バカ!」

階段を下りてきた島宮徳安が眉をひそめる。

「どう...

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